【書評】伝え方のバイブル「1分で話せ」がスゴい!手短に話すための最も効果的な方法とは?

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「話が長い、もっと手短に話してくれ」

上司や取引先から言われたことがある人ってけっこう多いんじゃないでしょうか。

例に漏れず、私も30代前半でこの経験をしまして……とりわけ上司に報告・提案にいくのが億劫になったものです。

そんなときに手に取ったのが、1分で話せ』という伝え方の本。これがかなり良い選択だったこともあり、晴れて説明下手な中堅社員を卒業できたわけです——。

そんなこともあり、個人的にとくに思い出深いのが本書です。

この記事では、『1分で話せ』の魅力に触れつつ、「こうやって伝えたらうまくいくよね」という方法論もお伝えできればと思います。

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『1分で話せ』はどんな本か

まず『1分で話せ』はどんな本か、について書いていきます。

端的に言えばこんな本です。

  • 「万能すぎる伝え方の本」=会議、プレゼン、上司への提案・報告、取引先との商談などあらゆる場面で使える
  • 「最もやさしい伝え方の本」=ふだん本を読まない人でも、すぐ理解できて真似できる

私は上司への提案・報告が下手すぎて悩んでいた頃(2018年・当時33歳)に読んだのですが、本書の内容を実践するうちに「話が長い、手短に話してくれ」と言われることは少しずつ減少。むしろ、「今日の説明、シンプルでわかりやすかったよ」と言われることも——。

「お、なんか効果が出てきたかも…」と、割と早い段階から効き目を感じていました。

本書を読めば、ダラダラ話してしまう悪いクセはなくなるし、人に説明する場面が億劫じゃなくなる——とにかく期待を裏切らないビジネス書です。

1分で話すための最も効果的な方法

1分で話せ』には大事なことをシンプルに、簡潔に伝えるコツがいくつも紹介されています。

その中で、私にとって一番効果があった方法がこちらでした。

「ピラミッドに整理して話す」

これをやるだけで、驚くほど簡潔で説得力のある伝え方ができます。

「1分で話す」ための根幹ともいえる考え方。

とくに相手の承認を得る場面で威力を発揮するので、気に入ってずっと使っています。

本書のなかでもこの解説部分がいちばん好みです。

※ちなみに「ピラミッドに整理して話す」は私の解釈で書籍での書きぶりとは多少異なります。

「ピラミッドに整理して話す」とは?

「ピラミッドに整理して話す」とはどういうことか。

端的にいうと、

話す前に伝えたいことの「骨組み」を「結論と根拠のセット」で整理しておくこと

そしてそれを——そのまま余計なことを付け足さずに話す。

たったこれだけです。

図式化したほうが直観的にわかりやすいので、下図で説明しますね。

ピラミッドストラクチャー

これはロジカルシンキングでよく使う「ピラミッドストラクチャー」というフレームワーク。

  • 話には伝えたい結論(主張)と根拠があるので、切り分けて整理
  • 「結論」を頂点に、「根拠」をその下に並べる

これをやっておくだけで、大事な情報だけを、正しい順番でしゃべれます。驚くほど滑らかに。

要するに、このピラミッド構造(骨組み)さえ頭にあれば、脱線して話が長くなることも、迷走してしまう心配もないんです。

  • これが結論です。
  • 理由は3つあって、AでBでCだからです。

基本形はこのパターンです。

一応、本書に掲載されている実例も紹介しておきますね(本書の例をそのまま使います)。

ピラミッドストラクチャー実例

この例でいくと、

  • 私は田中さんと仕事がしたいです。
  • 理由は3つあって、1つ目は方針がわかりやすいから、二つ目は私たちを守ってくれるから、三つ目はお茶目で楽しいからです。

※かなり単純化しているので少し違和感があるかもしれませんが、イメージとしてはこれくらいシンプルです。

このようにピラミッド通りに話せば、大事なことだけ簡潔明瞭に伝えられます。

大事な3つのポイント

「ピラミッドに整理して話す」ときのポイントも整理しておきます。私が思うに次の3つでした。

この3つを意識しておくと、説明がうまくいきます。

一つずつ見ていきます。

【1】結論と根拠の意味をつなげる(=ロジカル)

伝えたい結論と根拠は意味がつながっている必要があります。要するに、「ロジカルに話しましょう」ということです。

例えば、

  • 雨が降りそうだから、傘を持っていきます。
    ——これは意味がつながっていますね。
  • 雨が降りそうだから、今日は外出しません。
    ——これも意味が通じます。

次はどうでしょうか。

  • 雨が降りそうだから、キャンディーをなめます。
    ——意味不明ですね。

これが、「意味がつながっていない」状態です。これを回避しましょうというのが、ポイントの一つ目です。

加えて、「意味がつながっている」かどうかは聞き手が決めることなので、自分本位の結論と根拠にならないよう気を付けたいところです。

【2】根拠の目安は3つ

「根拠は3つ」が黄金パターンです。これにも理由があります。

私たちは普段から「3」という数字を使って色んなものを表現をしています。

  • 三種の神器
  • 縦・横・高さ
  • ホップ・ステップ・ジャンプ

「3」にまつわる言葉は意外とたくさんありますね。

1つとか2つだと物足りないけど、4つとか5つだとなんだか多い——感覚的な話になりますが、覚えやすさやリズムの観点で、「根拠は3つ」は理にかなっていると思います。

【3】結論→根拠の順に話す

ビジネスマナーとして、よく「結論から話しましょう」と言われます。「1分で話す」もそれは同じ。

ですが、もっといえば、「結論から話して、そのあとに根拠を述べましょう」ですね。

伝えたい結論(主張)を最初に言ったとしても、「根拠がゼロ」「意味のない話が長々と続く」となれば、単なる「自己主張の強い人」みたいなります……

ビジネスシーンでは、「結論→根拠」の順でロジカルかつ端的に話したいものです。

※本書では、「結論→根拠」の発展系として、「結論→根拠→たとえば」も紹介されています。さらに聞き手がイメージしやすくなるのでおすすめです。

伝える上で忘れてはいけない3つのこと

さらに『1分で話せ』には、伝える上での大事な心構えもたくさん書かれていました。

なかでも、とくに印象深かった3つを紹介します。伝える上での良いマインドセットになります。

一つずつ見ていきましょう。

【1】プレゼン力とは人に動いてもらう力

著者が曰く「プレゼン力」とは、人前で発表するスキルでも、うまく話すスキルでもありません。

プレゼン力とは、人に「動いてもらう」力です。

ロジカルで、きれいに話すのがいいと思っていましたが、違いました。——人を動かしてなんぼです。

相手に動いてもらうには、左脳と右脳の両方に訴えかけなければならない

相手を動かすためのポイントも書かれていました。それは、左脳と右脳の両方に訴えかけること。

よく「左脳=ロジック」「右脳=感情」と言いますが、この2つに漏れなく働きかけないと、人は動かないというわけです。

——人は左脳で理解し、右脳で感じて、やっと動ける。ロジックだけでも、情熱だけでも人は動かない。

肝に銘じておきたい思考法です。

【2】話はスッキリ・カンタンに

二つ目は、「話はスッキリ・カンタンに」しましょうというお話です。

人は放っておくとしゃべりすぎるし、かっこいい言葉を使おうとします——ですが、これをやめましょう。

スッキリ・カンタンとはこんなイメージです。

  • スッキリ:いらない言葉を削る、シンプルに
  • カンタン:中学生でもわかる言葉で説明、「英語・カタカナ」よりも「日本語・ひらがな」で

具体例を見ておきましょう。AとBを比べてみてください。

  • A:基本的には、先に述べたように、「スッキリ、カンタン」の観点で、「削る」こと念頭にブラシュアップしていきます。
  • B:「スッキリ・カンタン」に「削る」べく、磨いていきます。

当然、Bのほうが端的でわかりやすいですよね。スッキリ・カンタンを心がけるのはおすすめです。

これは口頭説明だけでなく、文章でも使えます。資料やメール本文を作るときにも役立ちました。「もっとスッキリ・カンタンにできないか?」をいつも自問する習慣が大切です。

【3】頑張ったことを話してはいけない

三つ目は、気付いたらついやってしまう、あれです( 私もやりがちです)。

上司や同僚に1分間で報告・提案をするときに、一番やってはいけないのは、

頑張った話をすること——つまり、結論とは無関係の余計なプロセスを話すことです。

これをやるから話が長くなっちゃう…

わかりやすい例が書いてあったので見ておきましょう。AとBを比べてみてください。

  • A:私は今年と昨年の資料を検討したのですが、それだけでは足りないと思い、年間分の資料を前任の山田さんからもらって調査した結果、全体としてはA案を押していくべきではないかと思いました。
  • B:A案を押していくべきだと考えます。

当然、スッキリ・カンタンでわかりやすいのは、Bです。

聞き手の望みは何かというと、「すぐにあなたの結論・主張を聞いて判断をしたい」です。

——だから結論から話す。相手が聞きたいことから話す。自分が話したい「頑張ったこと」は話すな。

これも本書を読んで知った、伝える上での大事な心構えでした。

まとめ:『1分で話せ』は伝え方のバイブル

「本書は、伝える力を世界で一番簡単に習得できることを目指しています」

と著者本人が言うだけあって——『1分で話せ』は伝え方のバイブルといえる名著でした。

伝え方の本を1冊読むなら、この本をおすすめします。

1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない

この一節も印象深かったです。

たとえ1分以上話す場面(10分のプレゼン、会議での30分説明など)であっても、まずは「1分で伝わるように」話を組み立てる——この思考回路が大事ですね。

最後に本書の基本情報をまとめておきます。

  • タイトル:1分で話せ
  • 著者:伊藤 羊一
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発売日:2018/3/13

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